屋久島と種子島のみに自生する日本固有の五葉松、
それがヤクタネゴヨウ(屋久種子五葉)です。
ヤクタネゴヨウはマツ科マツ属の常緑高木で、大きな特徴は
巨木であることと、長寿であることです。
数百年という歳月をかけて、胸高直径2m以上、樹高30m以上の
巨木に生長します。
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絶滅危惧種とは、絶滅が心配される生物のこと。
かっては多く分布していたヤクタネゴヨウですが、
2007(平成19)年現在、屋久島に1500〜2000本、
種子島には300本以上が生き残っていると推定されています。
とくに近年になって数の減少が著しく、このままでは絶滅する
危険性が高いことから、「絶滅危惧種IB類」として
日本版レッドデータに登録されています。
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種子島では明治時代から第2次世界大戦後にかけて、
丸木舟や建築材に利用するために多くが伐採されました。
このほか台風や土砂崩れなどの自然災害による被害や、
大気汚染物質による樹勢の低下、また、今 急激に
進行しているマツ材線虫病による被害によって数が減っています。
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今、ヤクタネゴヨウは、自然の状態では生き延びる事が
難しくなっています。その理由は、屋久島と種子島に生育地が
限られているうえに、本数が少なくなって孤立状態になると、
近親交配による種子の稔性低下(健康な種子が少なくなり、
発芽する力も弱くなる事)が起こるからです。
さらに、普通のマツは1本につき数千〜数万粒の種子が
できますが、ヤクタネゴヨウは数千〜数百粒しかできません。
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日本各地で「マツ材線虫病」によるマツ枯れが深刻な問題に
なっており、種子島でもクロマツに被害が広がっています。
一般には「松くい虫」の名で知られているのが「マツ材線虫病」です。
これはマツノマダラカミキリによって運ばれたマツノザイセンチュウ
が、マツに浸入して枯らしてしまう伝染病です。
マツ材線虫病は、アメリカなどから輸入された木材によって
運ばれたと考えられています。
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ヤクタネゴヨウの保全活動として、自生木および枯死木の調査や
森林の手入れを行うほか、接ぎ木による苗木を植樹する
「ヤクタネゴヨウ増殖・復元緊急対策事業」に協力し、その後の
保護・管理しています。また、マツ材線虫病対策では、
薬剤の樹幹注入による予防をはじめ、マツ材線虫病で枯れた
ヤクタネゴヨウを森から伐り出し、木の内部に侵入した
マツノマダラカミキリの幼虫とマツノザイセンチュウを
一緒に焼いてしまう取り組みが進められています。
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